ここ数年、情報通信技術の急速な進歩や情報通信サービスの品質向上につれ、携帯電話の普及率が目覚ましく高まってきた。街を歩いてみると、携帯電話を片手にした人たちが溢れ、最新機種を商品棚にずらりと並べる販売店が増殖した。携帯電話については、従来の通話機能だけでなく、メールやインターネットの利用、さらにはゲーム・音楽プレイヤー・ワンセグといったエンターテイメント機能も備えている。また、現在では、パソコンと変わらない機能を搭載し、更なる進化を遂げた高機能な携帯電話(いわゆる「スマートフォン」)が普及しつつあり、GPS機能やナビゲーションなどの新しい利用方法が拡大してきている。
一昔前までは個人をダイレクトにつなぐ道具として、携帯電話は「あれば便利なもの」として認識されてきたが、今や、生活必需品として欠かせないものとなっている。いつでも、どこでもリアルタイムに情報収集できるという点が携帯電話の一番のメリット。その他、災害や突発事故に遭遇した時の安否確認、日本のような自然災害の多い国では、携帯電話(メール)等を利用した避難勧告や気象警報の伝達など、緊急時の情報伝達手段としての活用も挙げられる。携帯電話は、もはや「ないと不便なもの」となっており、我らの生活に深く入り込んで来ている。
しかしながら、何事にも功罪があるように、携帯電話にも良い面・悪い面が存在する。携帯電話の普及以降、あらゆる面で人はマナーというものを軽視するようになったのも事実だ。至る所で携帯電話をいじる人が増え、若者だけでなく年配者まで少しの暇があれば、すぐさま携帯を取り出し、親指を一生懸命動かしたり、画面を眺めたりするというような光景が目にされるようになった。よって、町中では携帯電話の音、電話に出て話す人の声が常にしているくらいだ。また、若い世代を中心に、携帯無しでは生きられない「ケータイ依存症」が広がりつつある。携帯電話にあまりに夢中になってしまうと、携帯をいじるのをやめられなくなってしまい、仕事や学業、さらには健全な人間関係作りに支障をきたす可能性がある。
携帯電話を上手に利用し、毎日の生活をより楽しく実り豊かなものにするためには、けじめのある携帯の使い方を考える必要がある。携帯電話から得られるものは膨大な情報量だけではない。情報共有、情報交換によって、人と人とのつながりが深まり、ちっぽけな自分の世界を一層大きく広げていく。
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